建設業界で働く人の資格情報ナビ「施工管理技士マガジン」

令和3年の大改正!経審の評価項目で新設されたW10を理解しよう!

  • 経営

はじめに

建設業を経営し、特に公共事業の受注が多い企業にとって、経営事項審査(通称経審)は無視できない項目です。

 

公共工事を発注する国や地方公共団体は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行う必要があり、その審査の一つが経営事項審査だからです。

 

経審の点数は総合評定値(P点)といい、以下の要素から成り立っています。

  •  経営規模(X1、X2)
  •  経営状況(Y)
  •  技術力(Z)
  •  その他の審査項目(社会性等)(W)

 

これらの要素を以下のような計算式で合算したものがP点となります。

P点=X1×0.25+X2×0.15+Y×0.2+Z×0.25+W×0.15

 

経審の内容はこれまで幾度となく改正されていますが、令和3年4月に施行された改正事項の中で、W点の改正は業界の転換点と言っても過言ではない改正内容となっています。

 

今回は、その中でも新設されたW10の審査項目ついて見ていきます。

 

令和3年4月施行の主な改正内容は4点!

国土交通省より、令和3年3月26日に経営事項審査の改正に向けた告示が交付され、4月1日より施行されました。

(「①技術職員数(Z1)に係る改正」については、前回コラムをご参照ください。)

経営事項審査の主な改正事項(令和3年4月1日改正)

出典:国土交通省資料「経営事項審査の主な改正事項(令和3年4月1日改正)」

 

主な改正事項は4点ですが、その中で「その他の審査項目(社会性等)(W)」の改正が目立っています。

 

社会性等とは営業年数や法令順守、経理状況などを評価する項目で、以下の審査項目から成り立っています。

 

区分

審査項目

その他審査項目(社会性等)

W

  1. 労働福祉の状況(W1)
  2. 建設業の営業継続の状況(W2)
  3. 防災活動への貢献の状況(W3)
  4. 法令遵守の状況(W4)
  5. 建設業の経理に関する状況(W5)
  6. 研究開発の状況(W6)
  7. 建設機械の保有状況(W7)
  8. 国際標準化機構が定めた規格による登録の状況(W8)
  9. 若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況(W9)
  10. 知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)【新設】

 

この中で、「10. 知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)」は今回の改正で新設された項目で、国土交通省が今度どのような点を重要視していくのか?ということが非常に良く表された内容となっています。

 

新設されたW10の背景と概要

今回新設された「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)」は、国土交通省が「継続的な学習」や「継続的な経験」を重要視する思惑が見て取れます。

 

これは、改正建設業法(令和2年10月1日施行)の中で、「建設工事に従事する者は、建設工事を適正に実施するために必要な知識及び技術又は技能の向上に努めなければならない。」と規定されたためです。

 

国土交通省が推進するi-Construction(測量から設計、施工、検査、維持管理に至る全ての事業プロセスでICTを導入することにより建設生産システム全体の生産性向上を目指す取組み)などにより、今後技術者や技能者は常に最新技術を習得し、継続的に技術研鑽することが求められます。

 

これまで国家資格等を取得することで評価されていた「技術力(Z)」に加え、これらの技術職員が継続的に学習し経験することを「社会性(W)」の評価項目に追加したのは、上述のような背景があるからです。

 

評価については、以下の計算式によって評点が計算されます。

引用:国土交通省資料「経営事項審査の主な改正事項(令和3年4月1日改正)」

 

この計算により算出された結果を以下の表に当てはめて、W10の評点を算出します。

 

W10の結果により、経審総合評点(P点)では、最大14.25点の加点となります。

 

知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況

W10

経審総合評点

(P点)換算

10

10

14.25

9以上 10未満

9

12.83

8以上 9未満

8

11.40

7以上 8未満

7

9.98

6以上 7未満

6

8.55

5以上 6未満

5

7.13

4以上 5未満

4

5.70

3以上 4未満

3

4.28

2以上 3未満

2

2.85

1以上 2未満

1

1.43

1未満

0

0.00

 

計算式の中で出てくる「CPD(Continuing Professional Development)」とは、技術者の専門知識の継続教育のことで、建設関係の資格認定団体等が実施する資格取得後の継続的な教育プログラム等の受講がこれに該当します。

 

W10対策として、このCPDプログラムの単位取得等を目指す必要があります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

今回は、令和3年4月の経審改正事項の中から、特に新設されたW10に関する改正の背景や概要について触れました。

 

本改正では、建設業が抱える様々な課題を解決することを目的としており、特にW10の新設は技術職員が継続的な学習や経験を得る機会を増やすことを促しています。

 

経審の点数アップを図るためだけでなく企業が継続的に成長し発展するためにも、技術職員の継続的な学習と経験を促すことは非常に重要であることは間違いありません。

TOP