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経審のP点UPに、経営の改善が必要なワケ!?

  • 経営

はじめに

建設業の経営者にとって、決算が近づくと気にしなくてはいけないことに経審の対策があります。

経審は「審査基準日」における会社の規模や経営状態に対して、定められた基準によって点数をつける手続きです。

ここで、審査基準日とはいわゆる決算日のことで、会社によって当然審査基準日は異なります。

3月決算、9月決算など、会社によって決算の月は異なるため、今一度自社の決算月とそれまでに何をすべきかを整理しておく必要があります。

 

経審の点数は審査基準日(=決算日)時点の会社の状況で評価されるため、仮に決算日の翌日に監理技術者資格者証の交付を受けたとしても、今回の経審で評価されることはありません。

一見、当たり前のように感じますが、実際には決算日を過ぎていたために加点にならなかったということは多々あります。

それは、経審の手続き自体は決算日から約2ヶ月後、会社の決算が確定し税務申告がされた後に行われるためです。

例えば、3月決算の会社の場合、税務申告が終わるのはおおよそ5月末くらいになりますので、それから具体的な申請手続きに入ります(下図参照)。

 

 

そのため、いざ経審の申請をしようとしたときに「あれをしていなかった!」では遅いのです。

決算日が来る前に、改めて何をしておくかをきちんと整理しておきましょう。

 

決算に向けて、財務の改善を!

決算日までにやっておくべきことは多々あります。

  •  監理技術者資格者証の交付は受けているか?
  •  建退共の証紙購入や手帳更新はできているか?

 

これらについては社内でもチェックリストを作成するなどして、毎年きちんと経審に向けてヌケやモレがないかを管理していく必要があります。

 

それとは別に、決算に向けて会社の財務内容もしっかりと改善を図ることをお勧めします。

財務内容の改善は、経審の点数(P点)を構成する要素の中で、Y点のアップにつながります。

 

P点の算出方法は、以下の計算式から成り立っています。

P点=X1×0.25+X2×0.15+Y×0.2+Z×0.25+W×0.15

 

これらのX1からWまでの要素の中で、Y点は会社の経営状況を表す点数です。

具体的には、会社の決算書をもとに算出していきます。

当然に、会社の経営状況が良いと点数は高く、経営状況が悪いと低くなります。

経営者の中には、営業や現場が好きで「決算書や経営数字は見たくない!」という方もいらっしゃるかもしれません。

ただし、P点を構成する上記の計算式の中でY点の占める割合は大きく、経審の点数アップのためには重要な要素であることは紛れもない事実です。

さらに、Y点をアップさせることは会社の財務状況を改善し、より健全な会社経営をする上で絶対に欠かせない項目となっています。

 

数字にアレルギーのある経営者の皆様にも、Y点をアップさせて会社の経営状況をより良いものにできるように、Y点アップのポイントについて見ていきましょう。

 

Y点の構成要素と改善のポイント

Y点は8つの構成要素(X1~X8)から成り立っており、これらの構成要素は決算書の中の数字から以下の指標を数値化したものになります。

 

指標

算出方法

良い方向 (目安)

負荷抵抗

X1

純支払利息比率(%)

(支払利息-受取利息配当金)÷ 売上高 ×100

0.4%

X2

負債回転期間(月)

負債合計額 ÷(売上高÷12)

6ヶ月

収益性・効率性

X3

総資本売上総利益率(%)

売上総利益 ÷ 総資本(2期平均)×100

35%

X4

売上高経常利益率(%)

経常利益 ÷ 売上高 ×100

2~4%

財務健全性

X5

自己資本対固定資産比率(%)

自己資本(純資産)÷ 固定資産 ×100

100~150%

X6

自己資本比率(%)

自己資本(純資産)÷ 総資本 ×100

30%

絶対的力量

X7

営業キャッシュフロー(億円)

営業キャッシュフロー(2期平均)÷1億

X8

利益剰余金(億円)

利益余剰金 ÷1億

 

図 8指標とそれぞれの影響度(寄与度)

 

当然ながら、Y点に与える影響度(寄与度)が大きいものから改善をしていけば効率がよいですが、どれか1つの指標だけにとらわれるのではなく、会社全体の財務体質をよくしていくという意識をもって取り組むことが肝要です。

 

Y点アップのために取り組むべきことは色々ありますが、まずは赤字工事をなくし粗利益の改善を図ることを考えましょう(前回記事も参考ください)。

これにより、X3(総資本売上総利益率)が改善され、さらには会社の経常利益率や当期純利益率なども改善する可能性があります。

粗利益の改善は、当期純利益の改善にもつながります。

当期純利益を高めることは、会社に残る利益(利益剰余金)を増やすことを意味するため、自己資本も増えX6(自己資本比率)も改善されます。

自己資本比率を高めることは経審対策だけでなく、銀行の格付けアップでも重要視される指標のため、過度な節税ばかりではなく、しっかりと納税して利益剰余金を積極的に増やしていくことは非常に大切なことです。

自己資本が増えれば、将来の設備投資や日々の運転資金などを銀行からの借入だけに頼らなくてよい経営ができるため、X1(純支払利息比率)やX2(負債回転期間)の改善につながります。

そのために、ムダな借入金は減らし、「借りられる時に借りておく」というスタンスではなく「今、当社に必要な借入かどうか?」という観点で考えてみることが必要となります。

 

改善ポイント

① 赤字工事をなくして、粗利改善を図る!

② 過度な節税はせず、当期純利益をしっかり増やす

③ 自己資本を増やし、ムダな借り入れを減らす

 

この他にも、具体的にY点をアップさせるためにできることはたくさんあります。

今回は、ただ単に「Y点アップのため」というよりも、会社経営の本質的な改善という観点からポイントを絞ってみました。

内容は非常にシンプルで当たり前のことですが、まずはここから取り組んでみることで、会社の財務内容は劇的に変化することは間違いありません。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、経審でよい総合評定値(P点)をとるために、会社の経営状況を表すY点アップについてまとめました。

Y点アップを図ることは、より良いP点をとるためには有効な手段となりますが、それだけではなく会社経営そのものを良くすることにつながることをしっかりと理解していただくことが重要になります。

そのためには、決算書や数字を読むことが苦手という経営者もそこから逃げずに、1つずつ「どの指標をクリアするために日々どのようなことを心がけるのか?」を明確にし、常に現場を改善する意識をもつことが必要です。

 

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