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施工管理技士の資格について、概要や取得メリットを知ろう!

「施工管理技士」がどんな資格か知ろう

頻繁に「業界全体が人材不足」という課題が問題視されている建設業界。その中でも特に不足していると言われるのが「施工管理技士」という資格の保持者と言われています。一体なぜ建設業界では「施工管理技士」が必要とされるのでしょうか。

施工管理技士とは

「施工管理技士」とは、建設業法で定められた国家試験である「施工管理技術検定」の1級または2級合格者を指します。この試験は国土交通省の指定実施機関が毎年行う試験となり、試験日程や受験資格はその年度に官報で発表されます。例年、大きな違いはありませんが近年は年に1度の試験から2級の第一次検定(旧学科試験)のみ年に2回行う、技士補の創設、第一次検定の受検資格が年齢制限のみになる、など活発な動きが見られるようになってきました。
建設現場において施工計画書の作成、安全の遵守、第三者との調整などを行う現場のエキスパートとして建設業法の中で以下の措置が取られています。

(1)取得した級等や種別に応じ、建設業許可に必要な各営業所に配置する専任技術者や現場に設置が求められる主任技術者・監理技術者の技術者要件として認められている
(2)経営事項審査において、2級は5点、2級は2点として評価される(監理技術者証を持ち、監理技術者講習を受講した者は更に1点が加算)

「会社に取得するよう言われたが、実はどんな資格なのかわからない…」といった1から資格のことを知りたい受験者の方や、社員教育に関わるため再度確認したい企業担当者の方は、是非この記事をチェックしてみて下さい。

施工管理技士の種類

工事現場
施工管理技士は、令和元年現在、国土交通省が定めた7種の工事種類においてそれぞれの種目があります。

  • 建築施工管理技士(1・2級)
  • 土木施工管理技士(1・2級)
  • 電気工事施工管理技士(1・2級)
  • 管工事施工管理技士(1・2級)
  • 造園施工管理技士(1・2級)
  • 建設機械施工技士(1・2級)
  • 電気通信工事施工管理技士(1・2級)

「電気通信工事施工管理技士(1・2級)」は令和元年度より新設された新しい種目です。
電気通信工事施工管理技士に関してはこちらの記事をご覧ください。

新設!電気通信工事施工管理技士ってどんな資格?

「1・2級施工管理技士」が必要とされる理由

作業員
「建築施工管理技士」という資格は、建設業従事者にとって見逃せないメリットが多数あります。そのため、多くの企業が施工管理技士資格保持者を求めており、資格取得者には手当を出す企業も少なくありません。一体どういったメリットが存在しているのでしょうか。以下に、施工管理技士を取得して得られるメリットとして主なものを挙げていきます。

(1)各営業所に必要な「専任の技術者」として認められる

「特定建設業」及び「一般建設業」の許可を受けてた建設業者は、建設業法により営業所ごとに「専任の技術者」を配置することが義務付けられています。特定建設業の場合は1級、一般建設業の場合は1級または2級の国家資格(施工管理技士)保持者は専任の技術者となることが可能です。建設業の許可を受けている場合は営業所ごとに必ず専任の技術者を設置する必要があるため、施工管理技士等の有資格者が不在となれば建設業許可を維持できなくなります。従って、どの企業も継続的に欲しがる人材と言えるでしょう。

(2)「監理技術者・主任技術者」になれる

1級施工管理技士の保持者は監理技術者、2級施工管理技士の保持者は主任技術者として認められます。この監理技術者・主任技術者は営業所ごとではなく現場ごとに必要な技術者です。また、単に法律上設置が必要というのみではなく、国家資格保持者としての知識や管理能力を持ち合わせていることを客観的に証明することができるため、職業上の地位の保証、収入アップ・社会的評価の向上にも繋がります。
「監理技術者」と「主任技術者」の違いは下記のとおりです。

監理技術者

元請の特定建設業者が、総額4,500万円以上(建築一式の場合7,000万円以上)の下請契約を行った場合は設置する必要があります。特定建設業の許可を受けた元請の業者が配置する義務があり、それ以外の業者は主任技術者の設置が必要です。

主任技術者

元請・下請に関わらず監理技術者が必要な工事以外は全ての工事で配置する必要があります。

(3)経営事項審査において企業の得点に加算される

施工管理技士は、経営事項審査の技術力評価において、資格者1人あたり5点がカウントされます。(監理技術者資格証を保有し、講習を受講すれば更に1点が追加) 公共工事受注の際に技術力として評価されるため、従事する企業の数値による経営規模評価に大きく貢献することができます。

施工管理技士・試験制度の魅力

施工管理技士は、科目によっては合格率が20%強と5人中4人が不合格となることもある難関試験です。そのため、初受験でストレート合格を目指すのは至難の業ですが、経験した実務経験によっては他の建設系資格より突破しやすい部分もあります。

基準点以上を獲得できれば必ず合格できる

資格試験の合格基準は「絶対基準」と「相対基準」の大きく2つに分けられます。
絶対基準の試験とは、「試験問題の何点以上を取れていれば合格」という性質の試験であり、極端に言えば受験者全員が合格点を取れば全員が合格となる試験を言います。施工管理技士の合格基準はこの絶対基準に当たります。
対して、相対基準の試験は「受験者の上位何%が合格」といった性質の試験となり、例え90%が正答していたとしても定められた割合の人数が91%以上を得点していれば不合格になってしまう性質の試験です。司法書士や宅地建物取引士等がここに属します。
施工管理技士は、例年「全問題中、60%の正答率で合格」とされています。試験範囲が広く問題数も多いため合格ラインに辿り着くのは難しい数字ではありますが、合格点を獲得すれば必ず合格できる試験だと思えば目標を明確にしやすくモチベーションも上がりやすいのではないでしょうか。

一次試験は全問マークシート

施工管理技士の一次試験は、1級2級どちらも全ての問題が四肢択一のマークシート方式です。自由記述式の問題と違い、選択肢の中に必ず正答がある部分は比較的学習しやすい部分ではないでしょうか。

実技がない

「第二次検定」はその名称から、実際に配線を行ったり機械を取り扱うなど何かを行う試験を想像する人が多いようですが、「第二次検定」は自由記述式の筆記試験ですので全て紙の上の試験となります。一次のマークシートと異なり、解答を書く必要があるため、必要以上に難しいと感じてしまう人が多くいらっしゃいますが、二次は一次の応用で解答ができる問題も少なくありません。

以上のことを考えると、比較的合格しやすい試験だと思えてくるのではないでしょうか。

1級と2級の違いについて

受験予定者から頻繁にいただく質問として「1級を受ける前に2級を受験する必要があるのか」といったものがございます。
2級を取得していれば1級を受ける際に必要な実務経験年数の短縮が可能な場合もありますが、 基本的には実務経験年数を満たしてさえいれば1級からの受験も可能です。
1級に挑戦するには実務経験年数が不足している場合、年数を満たすまでは主任技術者として活躍でき一般建設業の専任の技術社となることができる2級の受験をお勧めします。
実務経験が十分に足りているようであれば、1年に1回のチャンスですので、1級からチャレンジした方が良いでしょう。不安な場合、1級と2級どちらも同じ年に受験される方も多数いらっしゃいます。

施工管理技士を必要とする建設工事の工事規模が異なる

1級施工管理技士と2級施工管理技士はそれぞれ、1級が「監理技術者」、2級は「主任技術者」の資格要件として認められています。下請けに出す請負金額が合計4,500万円以上(建築一式の場合は7,000万円以上)の工事を行う場合は「監理技術者」が必要となるため1級を受験、それ以外の工事では主任技術者の設置が必要となるため2級を受験すれば良いということになります。

【旧受験資格で受験する場合】受験するために必要な実務経験年数が異なる

前提として、施工管理技士は誰でも受けられる資格ではありません。旧受験資格で申請をする場合、施工管理技士の受験には、受験資格として実務経験が必ず必要となります。

《旧受験資格・施工管理技士の資格条件》

【1級一次・二次試験】下記の(1)~(6)に該当する方

区分学歴と資格実務経験年数
指定学科指定学科以外
(1)大学・高度専門士卒業後3年以上卒業後4年6ヶ月以上
(2)短期大学・専門士・5年制高等学校卒業後5年以上卒業後7年6ヶ月以上
(3)高等学校・専門学校卒業後10年以上卒業後11年6ヶ月以上
(4)その他15年以上
(5)2級合格者合格後5年以上
(6)2級合格後5年未満で右の学歴の者短期大学・5年制高等専門学校卒業後9年以上
高等学校卒業後9年以上卒業後10年6ヶ月以上
その他14年以上

【2級一次・二次試験】下記の(1)~(4)に該当する方

区分学歴と資格実務経験年数
指定学科指定学科以外
(1)大学・高度専門士卒業後1年以上卒業後1年6ヶ月以上
(2)短期大学・専門士・5年制高等学校卒業後2年以上卒業後3年以上
(3)高等学校・専門学校卒業後3年以上卒業後4年6ヶ月以上
(4)その他8年以上

【2級一次試験のみ】
試験実施年度において満17歳以上となる方

【新受験資格で受験する場合】受験するために必要な実務経験年数は一律1~5年

2024年度からは、第一次検定の受験資格については、実務経験撤廃という緩和措置がとられました。それにより上記で解説した実務経験は第一次検定を受験する段階ではすべて不要となります。

また、第二次検定につきましては、1級・2級ともに、学歴にかかわらず必要な実務経験年数が一律1~5年に緩和されます。それにより、従来の制度では実務経験が必要年数に満たなかった方でも、旧制度を使って受験するよりも早く受験が可能になります。

なお、令和6年度から令和10年度までの間、第二次検定は旧受験資格と新受験資格の選択が可能です。

詳しい制度の内容やポイントに関してはこちらの記事をご覧ください。
【施工管理技士試験制度が変更!】改正内容の概要とポイントから今後の試験の方向性までわかりやすく解説

まとめ

いかがでしたか?
上述した資格要件やメリットから、施工管理技士は建設業従事者にとって必要不可欠である必須資格であることがご理解いただけたかと思います。
1度取得すると、更新の必要はなく永久的に資格保持者となることができる施工管理技士は(監理技術者は講習による更新が必要)工事現場でリーダーの立場として活躍することができる上に、自身の業務も幅が広がります。
また、施工管理技士の資格保持者は工事を受注する際に必ず必要となるため、企業は常に即戦力としての施工管理技士を求めています。キャリアアップや転職にも大きな力となるでしょう。
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