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建築施工管理技士について-技術検定の概要や受験資格を知ろう

目次

建築施工管理技士とはどういう資格?

建築施工管理技士イメージ

施工管理技士は建設業法第27条により定められた国家資格です。取り扱う工事種別によって【建築】【土木】【電気工事】【管工事】【造園】【建設機械(建設機械のみ“施工技士”の名称)】そして令和元年より新設された【電気通信工事】の7種目があります。その中でもこの頁では【建築】について記載しています。

“建築施工管理技士”とは、国土交通省の指定機関により実施される国家試験の合格者に与えられる国家資格です。1級・2級の区分があり、実務経験年数で受けられる級等が制限されています。1級を受験できる実務経験年数を満たしていれば、必ず2級から受ける必要はありません。

この頁では建築施工管理技士を取得することにより得られるメリットや受験方法など、これから建築施工管理技術検定を受験される方に向けて役立つ情報をご紹介していきます。

建築施工管理技士を取得するメリット

現場に必要な「監理技術者」または「主任技術者」として認められる

建築工事は指定建設業に指定された特定建設業7業種の内の一つです。
建設業を営む者は現場に「監理技術者」または「主任技術者」の配置が義務付けられています(工事規模によって異なる)。
「監理技術者」及び「主任技術者」は原則として施工管理技士などの国家資格保持者に限られ、1級建築施工管理技士は建築工事の「監理技術者」そして2級建築施工管理技士は建築工事の「主任技術者」として認められます。

営業所に置く「専任の技術者」として認められる

1級建築施工管理技士及び2級建築施工管理技士は、建築工事業と鋼構造物工事業の2業種における、営業所の「専任の技術者」として認められます。

経営事項審査制度において企業の得点として数えられる

経営事項審査制度により、資格者1人あたり5点が企業の得点として加えられ、地方公共団体等が発注する公共工事を受注する際の技術力として評価されます。(監理技術者資格者証を保有し、かつ監理技術者講習を受講した場合はさらに1点加点)

取り扱うことのできる工事が多い

建築施工管理技士が取り扱うことのできる工事種別

建築工事の種類級区分
1級2級
建築躯体仕上げ
建築一式工事
大工工事
左官工事
とび・土工・コンクリート工事
石工事
屋根工事
タイル・れんが・ブロック工事
鋼構造物工事
鉄筋工事
板金工事
ガラス工事
塗装工事
防水工事
内装仕上工事
熱絶縁工事
建具工事
解体工事

建築施工管理技士の願書提出について

建築施工管理技士は1級が年に1回ずつ(学科・実地)、2級は学科が年に2回、実地は年に1回と1年の中でチャンスが非常に少ない試験です。
特に1級を初受験される場合、ほとんどの方は学科から受験することになりますが非常に早い段階で発売されるため気付いたら受付期間が終わっているというケースも考えられます。
国家試験のため、提出期間に間に合わなかった場合の受験は如何なる場合でも認められません。
うっかり提出期間を逃してしまい1年待つということにならないよう、試験期間をしっかりとチェックしておきましょう。

令和3年度1級建築施工管理技士の試験日程(毎年12月に次年度の試験日程が発表されます)

一次試験

願書発売令和3年 1月15日(金)
願書受付期間令和3年 1月29日(金)~2月12日(金)
試験日令和3年 6月13日(日)
合格発表令和3年 7月16日(金)

二次試験

願書発売
願書受付期間一次免除者:
令和3年 1月29日(金)~2月12日(金)

当年度合格者:
令和3年 7月16日(金)~7月30日(金)

試験日令和3年 10月17日(日)
合格発表令和4年 1月28日(金)

令和3年度2級建築施工管理技士の試験日程

一次試験(前期)

願書発売令和3年 1月15日(金)
願書受付期間令和3年 1月29日(金)~2月12日(金)
試験日令和3年 6月13日(日)
合格発表令和3年 7月6日(火)

一次試験(後期)・二次試験

願書発売令和3年 6月22日(火)
願書受付期間令和3年 7月6日(火)~7月20日(火)
試験日令和3年 11月14日(日)
合格発表〔一次のみ〕令和4年 1月21日(金)
〔一次・二次 / 二次のみ〕令和4年 1月28日(金)

建築施工管理技士の願書提出方法

建築施工管理技士を初受験される場合、必ず書面で受験願書を出す必要があります。
この受験願書は書店や小売店で購入できるものではなく、お近くの地域づくり協会または建設業振興基金にて購入する物です。

願書提出に必要な書類

建築施工管理技士の願書を提出する際、下記の書類が必ず必要となります。ギリギリで用意できず受験を見送ることがないよう、余裕を持って準備しておきましょう。

  • 卒業証明書(1級で15年以上、2級で8年以上の実務経験がある場合は不要)
  • 住民票(記載事項に変更がなければ発行年月日は問わない)
  • パスポートサイズの証明写真

その他、実務経験証明書を記入後、勤め先の代表から承認印及び会社印の押印が必要となります。

建築施工管理技士の受験資格

建築施工管理技士を受験するためには、最終学歴ごとに定められた実務経験年数が必要となります。詳しくは下記の表を御覧ください。

1級建築施工管理技士の受験資格

1級一次試験〔下記イ~ニのいずれかに該当する方が受験可能〕

  • 注1:実務経験年数は学科試験前日までで計算すること

【注2】表中の実務経験年数には、指導監督的実務経験(現場代理人、主任技術者、施工監督、工事主任、設計監理者等の立場で、部下・下請けに対して工事技術面を総合的に指導・監督した経験)年数を1年以上含むことが必要です。

区分学歴または資格実務経験年数
指定学科指定学科以外
大学
専門学校【高度専門士】
卒業後3年以上卒業後4年6ヶ月以上
短期大学
5年制高等専門学校
専門学校【専門士】
卒業後5年以上卒業後7年6ヶ月以上
高等学校
専門学校【専門課程】
卒業後10年以上※1※2卒業後11年6ヶ月以上※2
その他(最終学歴問わず)15年以上※2
2級建築士試験合格者合格後5年以上
2級建築施工管理
技術検定合格者
合格後5年以上※1※2
2級建築施工管理技士合格後5年未満で右の学歴の者短期大学
5年制高等専門学校
専門学校【専門士】
イの区分卒業後9年以上※2
高等学校
専門学校【専門課程】
卒業後9年以上※2卒業後10年6ヶ月以上※2
その他の者14年以上※2

■ 表中の注釈について ■

  • ※1)主任技術者の要件を満たし専任の監理技術者を配置することが必要な工事に配置され、監理技術者の指導を受けた2年以上の実務経験を有する方は※1の実務経験年数に限り2年短縮が可能です
  • ※2)指導監督的実務経験として「専任の主任技術者」を1年以上経験した方は、表中※2がついている実務経験年数に限り2年短縮が可能です
「建築施工管理に関する実務経験年数」とは建築工事の施工に直接的に関わる技術上の全ての職務経験をいい、具体的には、下記(1)~(3)に関するものをいいます。

(1)受注者(請負人)として施工を管理(工程管理 / 品質管理 / 安全管理などを含む)した経験(施工図の作成や補助者としての経験も含む)
(2)設計者等による工事監理の経験(補助者としての経験も含む)
(3)発注者側における現場監督技術者等としての経験(補助者も含む)

なお研究所・学校・訓練所等における研究・教育および指導業務、設計業務、保守・点検業務等は認められません。

「指定学科」とは国土交通省令で定めている学科等(建築学科 / 土木工学科 / 森林土木学科 / 鉱山土木学科 / 砂防学科 / 治山学科 / 農業土木学科 / 縁地学科 / 造園学科 / 都市工学科 / 衛生工学科 / 電気工学科 / 機械工学科 / 電気通信学科)を指します。

1級二次試験(下記(1)、(2)のいずれかに該当する方)

(1)当年度一次試験の合格者
(2)
  • 前年度一次試験のみの合格者
  • 建築士法による1級建築士試験の合格者、かつ1級建築施工管理技術検定一次試験の受検資格を有する者

2級建築施工管理技士の受験資格

2級一次試験

一次試験のみを受験

試験実施年度において満17歳以上となる方

一次試験および二次試験を同時に受験(下記イ-(1)~(4)のいずれかに該当する方)

※実務経験年数は、試験実施年度の試験日前日までで計算してください。

種別区分学歴実務経験年数
指定学科指定学科以外
建築
躯体
仕上げ
イ-(1)大学
専門学校【高度専門士】※1
卒業後1年以上卒業後1年6か月以上
イ-(2)短期大学
5年制高等専門学校
専門学校【専門士】※1
卒業後2年以上卒業後3年以上
イ-(3)高等学校 専門学校【専門課程】※2卒業後3年以上卒業後4年6か月以上
イ-(4)その他8年以上
【技能士合格者】下記ロ-(1)~(2)のいずれかに該当する方
受検種別職業能力開発促進法による技能検定必要な実務経験
技能検定職種級別
ロ-(1)
躯体
鉄工(構造物鉄工作業) / とび・ブロック建築 / 型枠施工 / 鉄筋施工(鉄筋組立て作業) / 鉄筋組立て / コンクリート圧送施工 / エーエルシーパネル施工1級問わず
2級4年以上
平成15年度以前に上記の検定職種に合格した者問わず
単一等級エーエルシーパネル施工問わず
ロ-(2)
仕上げ
建築板金(内外装板金作業)、石材施工(石張り作業) / 石工(石張り作業) / 建築大工 / 左官 / タイル張り / 畳製作 / 防水施工 / 内装仕上げ施工(プラスチック系床仕上げ工事作業、カーペット系床仕上げ工事作業、鋼製下地工事作業、ボード仕上げ工事作業) / 床仕上げ施工 / 天井仕上げ施工 / スレート施工 / 熱絶縁施工 / カーテンウォール施工 / サッシ施工 / ガラス施工 / 表装(壁装作業) / 塗装(建築塗装作業) / れんが積み1級問わず
2級4年以上
平成15年度以前に上記の検定職種に合格した者問わず
単一等級レンガ積み問わず

※技能検定職種の()内は選択科目を表す

「建築施工管理に関する実務経験年数」とは建築工事の施工に直接的に関わる技術上の全ての職務経験をいい、具体的には、(1)~(3)に関するものをいいます。

(1)受注者(請負人)として施工を管理(工程管理、品質管理、安全管理等を含む)した経験(施工図の作成や補助者としての経験も含む)
(2)設計者等による工事監理の経験(補助者としての経験も含む)
(3)発注者側における現場監督技術者等としての経験(補助者も含む)。

なお、研究所・学校・訓練所等における研究・教育および指導業務、設計業務、保守・点検業務等は認められません。

【 建築 】
主として建築一式工事・大工(一式)工事をいいます。
【 躯体 】
主として大工(型枠)工事 / とび / 大工 / コンクリート工事 / ブロック工事 / 鋼構造物工事及び鉄筋工事など建築躯体に係る工事をいいます。
【 仕上げ 】
主として大工(造作)工事 / 左官工事 / 石工事 / 屋根工事 / タイル・れんが工事 / 板金工事 / ガラス工事 / 塗装工事 / 防水工事 / 熱絶縁工事 / 内装仕上げ工事及び建具工事など建築仕上げに係る工事をいいます。

〔指定学科〕とは国土交通省令で定めている学科等(建築学科 / 土木工学科 / 森林土木学科 / 鉱山土木学科 / 砂防学科 / 治山学科 / 農業土木学科 / 縁地学科 / 造園学科 / 都市工学科 / 衛生工学科 / 電気工学科 / 機械工学科 / 電気通信学科)をいいます。

建築工事に認められる工事・認められない工事

建築工事の実務経験として認められる工事種別(業種)・工事内容

表I

工事種別主な工事内容(建築工事として実施された工事に限る)
建築一式工事事務所ビル建築工事、共同住宅建築工事など
大工工事大工工事、型枠工事、造作工事など
とび・土工・
コンクリート工事
とび工事、足場仮設工事、囲障工事、
(PC、RC、鋼)杭工事、コンクリート工事、地盤改良工事など
鋼構造物工事鉄骨工事、屋外広告工事など
鉄筋工事鉄筋加工組立工事、ガス圧接工事など
タイル・レンガ・
ブロック工事
コンクリートブロック積み工事、レンガ積み工事、
ALCパネル工事、サイディング工事など
左官工事左官工事、モルタル工事、吹き付け工事、とぎ出し工事、
洗い出し工事など
石工事石積み(張り)工事、エクステリア工事など
屋根工事屋根葺き工事など
板金工事建築板金工事など
ガラス工事ガラス加工取り付け工事など
塗装工事塗装工事など
防水工事アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、
塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事など
内装仕上工事インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内部間仕切り壁工事、
床仕上工事、畳工事、ふすま工事、家具工事、防音工事 等
建具工事金属製建具取付工事、金属製カ-テンウォール取付工事、
サッシ取付工事、シャッター取付工事、木製建具取付工事 等
熱絶縁工事建築断熱工事など
解体工事建築物解体工事

(※)上記工事種別による増改築等の工事は、実務経験と認められます。

実務経験として認められる従事した立場

表II

  • 施工管理(請負者の立場での現場管理業務)
  • 設計監理(設計者の立場での工事監理業務)
  • 施工監督(発注者の立場での工事監理業務)

建築施工管理の実務経験として認められない工事種別(業種)・工事内容・業務等

表III

受験できない工事種別 ・ 工事内容
土木一式工事トンネル、橋梁、歩道橋、地下道、地下鉄、鉄道、線路、プラットホーム、ダム、河川、護岸、港湾土木、閘門、水門等門扉設置、
道路、舗装、下水道、下水道管埋設、農業用道路、農業用水路、しゅんせつ、造園、さく井などの工事
電気工事発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備、引込線、電車線、信号設備、ネオン装置などの工事
電気通信工事電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、放送設備工事、アンテナ設備工事、
空中線設備工事、携帯電話設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事、
CATVケーブル工事、コンピューター機器設置工事など
機械器具設置工事(基礎工事を含む)プラント設備工事、エレベーター設備工事、運搬機器設置工事、集塵機器設置工事、給排気機器設置工事、
揚排水(ポンプ場)機器設置工事、ダム用仮設工事、遊技施設設置工事、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、
立体駐車設備工事
管工事冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、
浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事、水道施設工事、浄水施設工事、排水処理施
設工事、下水処理施設設備工事、ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事など
消防施設工事屋内消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧、泡、不燃性ガス、蒸発性液体又は粉末による消火設備工事、
屋外消火栓設置工事、動力消防ポンプ設置工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、非常警報設備工事、
金属製避難はしご、救助袋、緩降機、避難橋又は排煙設備の設置工事など
建築物に関係のない次の仕事(土木工事として実施したもの等は全て不可)とび・土工・コンクリート工事、石工事、タイル・れんがブロック工事(築炉等)、鋼構造物工事、鉄筋工事、板金工事、
ガラス工事、塗装工事(橋梁塗装、鉄塔塗装 等)、防水工事など
受験できない業務等

建築工事の施工に直接的に関わらない以下のような業務等は含まれません。

  • 工事着工以前における設計者としての基本設計、実施設計のみの業務
  • 設計、積算、保守・点検・維持・メンテナンス、事務、営業などの業務
  • 測量地盤調査業務、工事現場の事務、積算、営業等の業務
  • 工事における雑役務のみの業務、単純な労働作業など
  • 研究所、学校(大学院等)、訓練所等における研究、教育または指導等の業務
  • 入社後の研修期間(工事現場の施工管理になりません)
  • 人材派遣による建設業務

(土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくは解体の作業またはこれらの準備の作業に直接従事した業務は、労働者派遣事業の適用除外の業務のため不可。ただし、建築工事の施工管理業務は除く)
(※)その他 建築工事とは認められない工事・業務はすべて受験できません。

※実務経験の重複等について

技術検定試験の実務経験申請にあたっては、検定種目7種(建築施工管理、電気工事施工管理、土木施工管理、管工事施工管理、電気通信工事施工管理、造園施工管理、建設機械施工)の工事の経験を、重複して申請することはできません。
すなわち、ある一つの工事において複数の工種を経験した場合や、ある期間に複数の工事を経験した場合であっても、異なる工種の
経験を同時期に経た等として期間を重複して申請することはできません。

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